理事長あいさつ
今年は、年明け早々大災害に見舞われました。能登半島で発生した大地震は、木造家屋に被害をもたらしやすい地震波の特性、津波や地盤の変動、道路を中心とした地域条件などと相俟って、生命、財産、生業に深刻な被害をもたらし、発災後三カ月を経ても珠洲市のほぼ全域で断水が解消されないなど応急復旧にも時間を要しています。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆さま方に心からお見舞いを申し上げます。
つどいの家においても、複数の職員が現地での支援に従事してきましたが、北陸の冬、水が復旧していないなど困難な条件の下での頑張りに感謝するとともに、その間の事業運営を協力しながら支えてくれた組織風土を大切にし、これからも息長く、可能な限りの支援に取り組んでいきたいと思います。
当法人の今年の最大課題は、コロナの下での様々な制約に慣れ、これくらいでと思ってしまうことなく本来の活動を取り戻し、3年ごとの給付費改定初年度に当たっての経営安定化を図ることと考えています。
世の中全体に賑わいが戻り、アフターコロナの時代と声高に報じられていますが、当法人においては、コロナもインフルも今現実にあるものです。利用控えや施設自体の休所も発生しています。さみだれ的なコロナ感染発生により長くグループホームから外出できず不安定になる方もおられます。引き続き細心の注意を払いながら平時の活動に近づけていきたいものです。
今年度改定される給付費は、生活介護においては、一時間刻みの報酬区分が導入され、これまでの開所時間6時間だと3%の減額、ケース会議などで4時間の開所だとマイナス40%とされているほか、様々な加算措置など全体的に複雑で分かりにくい制度となっており、これから示されるであろう自治体の具体の運用方針など注意深く分析対応していくことが必要です。
収入環境が厳しい中、昨年度重点的に取り組んだガイドヘルパー養成講座や宿泊体験機会の提供は、重要な成果をあげたといえますし、今後更に継続的に、各種加算の取得や生活介護はじめホームヘルプ、ショートステイなど事業各分野の利用実績の増加に努め、今後3年間を見通した収入確保と費用節減に取り組む必要があります。
懸案となっている新規グループホーム開設は、地価や建築物価の上昇もありなかなか進捗を見通せていませんが、引き続き追及していくとともに、きょうだい支援等新たな公益活動にも果敢に挑戦していきたいと思います。
つどいの家は、「どんなに重いしょうがいのある人も、地域社会で差別されることなく、いきいきと自立した地域生活ができるよう、自己実現の場を保障し、支援する」という理念の下、様々な活動を展開していますが、この事業展開そのものが、事業運営に必要な給付費や補助金に国家予算、税がどれだけ配分されるかをはじめとして、世の中の動きと無関係ではいられず、様々な出来事について色々な角度からの情報を得るように努め、考え、感性を麻痺させないことが大切と考えます。
市から委託されている基本的な障害者相談支援事業がいつの間にか社会福祉事業でなくなっていて、委託料に消費税が課税されることとなり、先日過去五年分遡及して申告納付を行いました。また、委託料が課税対象とされたことで、法人全体が消費税課税事業者となってしまい、職員の給食代金や製造したパンの代金についても消費税をご負担いただかざるを得ないこととなりました。
法改正の理由はよくわかりませんが、従来福祉事業であった相談支援事業の範囲が、障害者分野だけ入所施設や精神科病院からの地域移行支援など、一部の相談支援のみに結果的に狭められてしまいました。なぜこんなことが起こるのか。家族丸ごと支援が必要など困難なケースに日々対応している基本的な相談支援事業が社会福祉事業でないとされたことに脱力感を感じますが、相談事業が幅広く福祉事業とされている児童福祉や生活困窮者分野との不均衡など、機会をとらえて粘り強く、もとに戻せと訴え続けたいと思います。
世の中全体として気になり心配になることは多々あります。様々な出来事に慣れ、忘れてしまうことなく、私たちの思いを発信しながら、一歩ずつ利用者さんの思いに寄り添った活動を展開していきたいと思います。
引き続き皆様のご支援ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。